前回の続き
タラブをもたらす歌手=モタレブ
タラブをコンサートの度、毎回引き起こしていたのが「アラブの至宝ウンムカルスーム」だと言われています。
それだけの歌唱力とカリスマ性、そして圧倒的な魅力があった彼女は死後40年以上(1975年没)経ってもアラブでは絶大な支持と存在感があり、愛され続けています。
もちろん私たちダンサーにも。
彼女のコンサートは夜中まで続く様な長いもので、踊りをある程度やっている方は知ってると思いますが、一曲も長いのです。
これは有名なENTA OMRIで、こちらのコンサートの映像は1時間18分。
これで一曲ですよ。
*私たちダンサーが踊る彼女の曲といえば、ダンス用にアレンジされたものがほとんどで、その長い曲の前奏だけ、歌の一節だけというような感じです。
彼女のコンサートは6時間以上続くこともあったようです。
しかし、そのコンサートは私たち日本人が思い浮かべる様な聴衆が客席で静かに座って聞いているというよりは、アーティストと聴衆の間の感情的相互作用でそのコンサートが作られていた様な感じです。
動画を見ると分かるんだけど、聴衆も遠慮なく、ピュー😚とか、あんた最高‼️(きっとその様な事を言っているのかな)みたいな掛け声をかけてますよね。完全に、参加型みたいなコンサート。
なので、ミュージシャンは何度も何度も同じフレーズを繰り返し演奏したり、彼女は同じフレーズを何度も違った歌い方で繰り返し歌ったり(これがさすがクルスーム‼️)と唸っちゃうほど、素人が聞いてもブラボーって感じで、本当さすがクルスームです。
ですので、最初のタラブとはに戻ると、
タラブとは会場全体が
恍惚感
高揚感
エクスタシー
に導かれた状態。
という意味が良くわかります。
この状況では、歌手、ミュージシャン、聴衆、みんなの相互作用で会場全体がものすごいエネルギーと情熱に包まれて、その時間と空間がフィーバーしていたのではないかと思われます。
そして、これも前回触れたサハラ・サイーダのワークショップで習ったことですが、
そんな彼女のコンサートの前から2-3列は、作曲者や作詞家など関係者だけで埋められてたそうです。
ステージから近いVIP席に大切な関係者をお招きするのと同時に、身内でそのエリアを固めると安心できますよね。
私たちダンサーの視点で見ても、完全にアウェイな環境で踊るよりは、ステージから見える位置に自分の身内の様な存在がいてくれると安心します。
しかし、ダンサー的には私の経験上、パフォーマンス中にあまり視覚をクリアにしておくと踊りの邪魔になることがあります。
ここからはダンサー的な視点からの私のパフォーマンスの経験談とTipsを次回またお伝えしたいと思います。
「木を見て森を見ず」
ではなく
「木を見ず森を見る」
がいい感じです♪